手放したあとに残ったもの — 娘と、私と、金星の話 —

「大丈夫かな」

娘のことを考えると、

長いあいだ、この言葉が

頭のどこかにありました。


ずっと大人しい子だと思っていたから。

自分の気持ちを前に出すより、

周りを見て動くタイプで。

心配するのは、

母として自然なことだと

どこかで思っていました。


一人暮らしを始めると聞いた数年前も

応援したい気持ちと同時に、

正直、不安のほうが大きかった。

でも、時間が経つにつれて

少しずつ、娘の様子が変わっていきました。


東京で生活して、

恋をして、

毎日が楽しそうで。

表情が明るくなり、

言葉に力が宿っていく。


気づいたら、

思っていた以上にエネルギッシュで、

本人もまだ知らなかった力を

使い始めているように見えました。


ここで一つ、

はっきりさせておきたいことがあります。

娘が私と一緒にいた時間が

苦しかっただけだったとは、

私は思っていません。


一緒にいたからこそ

育ったものも、

守られていた時間も、

確かにあった。

ただ、

そこで眠っていた何かに

お互い、気づいていなかっただけ。


娘の中にあったエネルギーが、

場所が変わり、

環境が変わり、

少しずつ目を覚ましていった。

そんな感覚です。

「一人暮らし、向いてるかも」

その一言を聞いたとき、

頼もしいと思う気持ちと、

いつでも帰ってきていいよ、という気持ちが

同時に胸に広がりました。

正直に言うと、

子離れは簡単ではありませんでした。

心配で、

寂しくて、

手放すのは

娘より、私のほうだったと思います。

でも、少し距離ができて

はじめて気づいたことがあります。


人は、

誰かと生きていても、

人生の感覚そのものは、

最後は自分ひとりで引き受けている。

親であっても、

子どもの人生を

代わりに生きることはできない。


だから、

娘は娘の場所で

自分の感覚を育てていき、

私は私の場所で

もう一度、自分の感覚に戻っていく。

それぞれの時間が

始まったのだと思います。


占星術では、

金星は「好き」や「喜び」を表す星だと

言われます。

でも私にとって金星は、

それ以上に

自分の人生を信じ直す感覚のようなもの。

誰かを手放すとき、

同時に

自分にも戻ってくるものがある。


金星は、

人生の役割が変わるたびに、

何度でも

形を変えて育っていく星なのだと

今はそう感じています。


娘を手放して、

私は自由になったわけでも、

一人になったわけでもありません。

ただ、

「私として、何を心地よいと感じるか」を

もう一度、

大切にしていく時間に入った。

それだけのこと。

そしてそれは、

とても静かで、

とても確かな変化でした。

たんとん占い カアラ(Karla)

神戸、大阪を中心に活動する「たんとん占い師」カアラ(Karla)のHPです 「たんとん占い」とは、たんとん、と体を手で優しく叩くように心の不調を整えて、迷いや悩みをほぐしていくカウンセリングをベースにした占いです。